BIOGRAPHY

辻 博之

 東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。在学中より、著名指揮者のもと新作を含む多くのオペラプロダクションにて、副指揮者、合唱指揮者をつとめ、国内の様々な劇場にて研鑽を積んだ。
 2013年に大田区民オペラを指揮してオペラデビューし、その後もロッシーニ「チェネレントラ」や多くの新作初演を指揮。深い歌への理解に基づいたアンサンブル作りを確立。新作日本オペラから古典まで幅広いレパートリーを広げている。また2012年には一人芝居と札幌交響楽団メンバーによるアンサンブルによる劇作品「年々去来」(十島英明演出)を指揮。2015年には演劇「ジョンとジョー」「怪物」(生田みゆき演出)において作曲もつとめるなど、作曲した舞台作品は5作品を数える。演劇的に深く解釈された劇音楽への取り組みは、深く評価されている。
 合唱指揮者としても国内様々な演奏会に出演。慶應ワグネル・ソサイエティ男声合唱団等、著名合唱団や、東西4大学男声合唱連盟合同合唱等の客演の他、関東を中心とする10団体の指揮者、客演指揮者、音楽監督をつとめている。オペラの合唱指導でもその卓越した力量は年々評価されている。
 オーケストラの分野では2017年にオーケストラ・アンサンブル・金沢定期演奏会にデビュー。その後も同オーケストラと共にAvex classics international主催アマデウスライヴ(オーチャードホール、兵庫県立芸術文化センター等)日本ツアーを指揮。その後も、九州交響楽団、読売日本交響楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京21世紀管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団等と共演。また、Ditto Orchestra,Seoul motetto choirと共に韓国ソウル芸術の殿堂にもデビュー。日本のみならず、海外にも活動の幅を広げている。
 2021年新国立劇場オペラ研修所終了公演でのチマローザ「悩める劇場支配人」ではイギリス『オペラ』誌上で「優雅かつ的確な細やかさで、チマローザの音楽に脈々と流れる歓喜を引き出した」と評され、オペラブッファ指揮者としての評価を高めた。
 現在、愛知県立芸術大学にて後進の指導にあたる他、千葉県文化創造財団との県内幼稚園への出張演奏会は今年で9年目100公演以上を数える他、ベビーカーコンサート、幼児と共に参加する合唱指導等も、積極的に活動を続けている。
 また、クラシック以外にも夏川りみ、河村隆一など著名アーティストと自らのオーケストラを率いて共演、邦楽、日舞とのコラボレーション等新たな試みにも意欲的に取り組み、舞台芸術の可能性を追求している。